beep boop beep

何かになりたかった僕たちと 何かになれなかった僕たち そしていまだ何かになれる気がしてる僕たち

あの夏の日の話

私は何も持ってないなあ。伝えたいことをしっかり伝えられるだけの言葉を知らない。ひとりで生きていくだけの力やお金やどんなものにも揺るがない強さや誰かに手を差し伸べる優しさも、きっとなんにも持ってない。自分ひとり、ここに立つのが精一杯で、そしていつも身勝手なことばかり願っている。いわゆるお金持ちの家に生まれてさ、とても恵まれた生活をしてきたと思う。今だって東京でひとり贅沢な暮しをさせてもらっている。でもあれだ、お父さんとお母さんが笑い合う姿とかもっと見たかった。二人は幸せなんだって実感したかった。私が見逃してきただけかな。ねえお父さん。今日は休みだって言っていたのにどこにいるの。ねえお母さん。なんでたまに私のこと無視するの。期待されてたピアノや才能あるだなんて言われてたバスケットだって。どっちも結局のところ投げ出して。高校だって落ちこぼれてギリギリ大学に入って。それはいつだって今自分のやりたいことをやるためだったけど、やりたいこと、やれてきたかな。私は何を手に入れてきたかな。あともう一ヵ月もしないうちにあたしは十代じゃなくなって大好きだった人の歳を追い越す。それは何となく不思議で寂しくてそして少し怖い。あー大好きだったな。あいつの曲。ステージに立つ姿。ボロボロのTシャツとジーパン。何も変わらないよ。二十歳になったところで。好きな歌を聞いて、働いて、勉強して、ギターを弾いてうたを歌う。たまに誰かとお酒を飲んで笑う。今はすごく大好きで大切にしたい人がいあるんだ。ああ何も持ってないなんてこと無かったかもしれない。でもたまにどうしようもなく寂しくなって怖くなってイライラしてひどく心がざわつくんだ。なんでかな。何も変わりやしないんだよ。あー違うな、変わって欲しいんだよ。世界が引っ繰り返ってほしいんだ。

十代はいつか終わる、生きていればすぐ終わる。割り切れるもんなど何一つ無いんだよ、唄うしかないんだよ、みんな自分の唄を。

   July 30(Wed), 2008

 


19歳の夏に書き殴った文章が出てきて、残しておこうかな。ヒリヒリしたあの夏はもう来ない、かな?ほんとに?
 

10代の頃から20代ももうすぐ終わる今でもずっと、この曲は苦しくて強くてふとした瞬間に頭の中に流れてきては、泣きそうになる。泣けるなら何も知らない子どものように大声をあげて泣きたい。

深夜高速/フラワーカンパニーズ

 

クズの中のクズの話

何にも心配いらないぜ 俺より愚かなやつは

きっとこの世の中にはいないと思うから

(路上のフォークシンガー / andymori

 

私の敬愛するandymoriというバンドのある曲にこんな歌詞がある。
ハッパ吸ったり、自殺未遂?騒動で音楽ファンを相当ザワつかせたボーカル、小山田壮平の作詞である。

俺は惨めで汚くて愚かで哀れな奴で、
そんな俺以下の人間はいないから、君は何にも心配しなくていい。

とか歌ってるけどさ。
すごいじゃんよー。
こんな歌を歌ってくれる時点で相当すごい人間だよ。
このご時世にCD何千枚も売れて武道館でもライブして。
一連の騒動もアーティストとしての繊細さと才能の証として評価されるところにもう彼はいる。


自分なんて?
ほぼバックレ状態で仕事やめたし?良い歳してニートだし?もうすぐ貯金ゼロだし?
毎月家賃払ってるのに一カ月分遅れてるとか言われるし?
払う充てとかないし?単発バイトで雇用先と大喧嘩して二時間で帰ってくるし?
恋人と別れたし?転職を試みるも書類で落ちまくるし?やりたい仕事とかよくわかんないし?


こんな歌詞を歌ってしまうそーへ―くんの優しさや哀しさや繊細さなんかが、
本当になにも持っていない人間からしたら切なくて少し苦しい。

 

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